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高田 弘; 明午 伸一郎; 佐々 敏信; 辻本 和文; 安田 秀志
Nuclear Science and Engineering, 135(1), p.23 - 32, 2000/05
被引用回数:3 パーセンタイル:26.42(Nuclear Science & Technology)500MeV陽子で照射される鉛体系における核破砕中性子の生成及び輸送現象を研究するために、Ni(n,x)Co反応、Au(n,2n)Au反応、Au(n,4n)Au反応等の種々の放射化検出器の反応率分布を測定した。また、高エネルギー核子・中間子輸送コードNMTC/JAERIとMCNP4Aコードを接続して、JENDLドシメトリファイルとALICE-Fコードによる計算値に基づく核種生成断面積を用いて実験データの解析を行った。しきい値の低いNi(n,x)Co反応について、計算は実験と良く一致する。しかしながら、しきい値が増加するとともに、特に20MeV以上の反応については、計算値は実験値を過少評価する。この不一致の主な原因は、NMTC/JAERIコードが数十MeV領域の中性子生成を過小評価することにあることがわかった。
高田 弘; 明午 伸一郎; 伊賀 公紀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(3), p.307 - 315, 2000/03
核子・中間子輸送コードNMTC/JAERI97における20~100MeVのエネルギー領域の中性子弾性散乱の角度分布の取り扱いを1次のベッセル関数近似から光学ポテンシャルパラメータで評価したデータベースに基づくランダムサンプリング法に改訂した。この改訂したNMTC/JAERI97を用いて、鉄、コンクリート及びポリエチレンを用いた43及び68MeV準単色中性子の透過実験を解析した。このNMTC/JAERI97の計算は、測定された透過中性子エネルギースペクトルと良く一致する。そして、中性子減弱距離のC/E値を従来の計算に比べて顕著に改善した。また、計算結果は遮蔽体のビーム軸から離れた位置における中性子スペクトル測定値を良く再現する。さらに、光学ポテンシャルパラメータで評価した断面積を用いた計算は、系統式の場合よりも40MeV以下の中性子の透過をより良く再現する。
伊賀 公紀*; 高田 弘; 池田 裕二郎
JAERI-Tech 99-023, 32 Pages, 1999/03
核子・中間子輸送コードNMTC/JAERIにLindhard-Robinsonモデルに基づくはじき出し損傷断面積計算機能を追加した。はじき出し損傷断面積を正確に評価するため、核子-原子核断面積の950MeV以上への拡張、弾性散乱角度分布の修正を同時に行った。機能拡張したNMTC/JAERIコードを用いてCr,Fe,Ni及びSUS316のはじき出し損傷断面積を計算した結果、弾性散乱によるはじき出し損傷断面積の計算値が20MeVでJENDL PKAファイルの値と滑らかに接続することが確認できた。これらの値を用いて、1.5GeV、5MW陽子入射の核破砕水銀ターゲットのビーム入射窓及びターゲット容器におけるDPAを評価した。本研究で得られたDPA値とは、他の機関の核破砕中性子源設計における結果とおおむね同じ値であることがわかった。
高田 弘
Mathematics and Computation, Reactor Physics and Environmental Analysis in Nuclear Applications, 2, p.929 - 938, 1999/00
原研の中性子科学研究計画における標準核設計ツール整備の一環として、核子・中間子輸送コードNMTC/JAERI97の核反応計算部及び輸送計算部の両方について改良を行った。核反応計算については、アイソバー共鳴モデル、ストリングモデル及び摂動QCDモデルに基づく原子核反応計算モデル(JAM)を組み込んで、適用エネルギー範囲を従来の3.5GeVから200GeVに拡張した。24GeV陽子を入射した厚い水銀ターゲットの円筒側面におけるBi(n,4n)Bi反応率分布について、計算結果は実験値とおおむね良く一致し、その実用性が確認できた。輸送計算部については、20~100MeV領域の中性子微分弾性散乱断面積データを光学ポテンシャルによる計算値に変更し、弾性散乱の後方成分を正確に考慮できるようにした。鉄などの遮蔽体における43及び68MeV準単色中性子の透過スペクトル測定実験の解析計算を行い、C/E値が従来よりも顕著に向上することを確認した。
明午 伸一郎; 高田 弘; 千葉 敏; 中本 建志*; 石橋 健二*; 松藤 成弘*; 前畑 京介*; 執行 信寛*; 渡辺 幸信*; 沼尻 正晴*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 431(3), p.521 - 530, 1999/00
被引用回数:38 パーセンタイル:91.42(Instruments & Instrumentation)中間エネルギーの粒子輸送のベンチマークデータ取得のために、0.5及び1.5GeV陽子を厚い鉛ターゲットに入射した場合の中性子スペクトル測定を行った。測定では1.6MeV以上のエネルギー領域における、精度の良い中性子スペクトルが得られた。実験結果をNMTC/JAERI-MCNP4Aコードシステムによる計算結果と比較した。この結果、計算は10MeV以下のエネルギー領域において実験を良く再現できることがわかった。しかし、20から80MeVにおいては実験値よりも50%程度小さい値を与えている。この不一致は、核子核子散乱断面積に媒質効果を考慮することにより縮少した。
伊賀 公紀*; 高田 弘; 永尾 忠司*
JAERI-Tech 97-068, 58 Pages, 1998/01
水冷タンタルターゲット・減速材・反射体体系について、NMTC/JAERI-MCNP4Aコードシステムを用いた熱・冷中性子輸送計算を行い、核破砕中性子源の核設計への本コードシステムの適用性を調べた。計算では、減速材に軽水及び液体水素を用いた場合に放出される中性子のエネルギースペクトルについて、BCデカップラーの有無による強度変化、外部中性子線源位置による強度変化等の計算結果が実験結果に基づく半実験式に物理的に妥当な値のパラメータを用いて再現できることを確認した。しかし、放出中性子の時間スペクトルを精度良く評価するためには、MCNP4Aによる計算で反射体やデカップラー領域に適当なインポータンスを設定する工夫が必要であることがわかった。本計算によって、今後の核破砕値源の核設計にNMTC/JAERI-MCNP4Aコードシステムを適用できることを確認した。
高田 弘
Proc. of JHF Symp. on Neutronics and Radiation Shielding for Spallation Neutron Source, p.205 - 218, 1998/00
核破砕中性子の発生と輸送特性に関するデータを取得し、計算コードの予測精度を検証するために、500MeV陽子を鉛体系に入射させる核破砕積分実験を行い、種々の放射化検出器の体系内反応率分布を測定した。NMTC/JAERI-MCNP4Aコードシステムを用いて解析計算を行い、実験結果との比較を行った。この結果、MeV領域に感度の高い放射化検出器の反応率分布について、計算は実験結果をよく再現した。しかしながら、20MeV以上のしきいエネルギーを有する放射化検出器については、計算は実験よりかなり低い値を与えた。厚いターゲットを用いた中性子エネルギースペクトル測定の解析結果との比較により、この不一致の主要な原因は、NMTC/JAERIコードが数十MeV領域の中性子収量を低く評価することにあることがわかった。
高田 弘; 明午 伸一郎; 佐々 敏信; 深堀 智生; 坂本 幸夫; 義澤 宣明*; 降旗 しおり*; V.I.Belyakov-Bodin*; G.I.Krupny*
Proc. of 3rd Workshop on Simulating Accelerator Radiation Environments (SARE3), p.255 - 263, 1997/00
核破砕ターゲットにおる中性子輸送特性データを取得するために、0.895及び1.21GeV陽子を直径20cm,長さ60cmのタングスタンターゲットに入射射せる核破砕積分実験を行った。実験では種々の放射化検出器を用いて、Al(n,d)Na,Bi(n,xn)反応などについて円筒表面上の反応率分布を測定した。解析では、NMTC/JAERI-MNCP4A,HERMES及びLAHETの3種類のコードによる計算を行い、JENDLドシメトリファイル及びALICE-Fコードによる核種生成断面積を用いて反応率を求めた。計算結果と実験結果との比較を行った結果、入射明から30cmまで位置の反応率について、3種類のコードのうち、LAHETコードによる結果が実験結果と最も良く一致することがわかった。これは前平衡衝過程が考慮されているためである。この場合、C/E値は0.8~1.2の範囲にあった。55cmの位置では、全てのコードでC/E値は他の位置よりも極端に大きくなった。
高田 弘; 明午 伸一郎; 佐々 敏信; 辻本 和文; 深堀 智生; 安田 秀志
Proc. of 3rd Workshop on Simulating Accelerator Radiation Environments (SARE3), p.284 - 292, 1997/00
核破砕中性子の発生と輸送特性に関するデータを取得するために、500MeV陽子を鉛体系に入射させる核破砕積分実験を行った。実験では、種々のエネルギー感度を有する放射化検出器の体系内反応率分布を測定した。また、NMTC/JAERI-MCNP4Aコードシステムを用いて解析計算を行い、実験結果と比較した。この結果、MeV領域に感度の高い放射化検出器の反応率分布について、計算と実験は良く一致した。しかしながら、放射化検出器のしきいエネルギーが高くなるにつれて、計算と実験の一致は悪くなった。この主要な原因は、NMTC/JAERIコードが数十MeV領域の中性子の生成を低く評価することにあることがわかった。
高田 弘; 明午 伸一郎; 佐々 敏信; 深堀 智生; V.I.Belyakov-Bodin*; G.I.Krupny*; Yu.E.Titarenko*
Proc. of 4th Int. Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transm, 0, p.323 - 333, 1997/00
0.8及び1.2GeV陽子を直径20cm、長さ60cmの厚いタングステンターゲットに入射した場合のターゲット円筒側面における種々の放射化検出器の反応率分布について、加速器によるTRU消滅処理システムの核設計に用いられるNMTC/JAERI-MCNP-4Aコードシステムを用いて解析計算を行い、実験結果と比較した。両方の入射エネルギーに共通して、主に10MeV以下の中性子検出反応S(n,p)P、Al(n,p)Mgについて、計算結果と実験結果は10~15%の差の範囲で一致し、コードシステムの現在の予測精度は妥当なものであることが判った。しかし、10100MeVの中性子検出反応Al(n,)Na Bi(n,xn)について、計算結果は実験結果に対して30~50%低いことが判った。この不一致はNMTC/JAERIコードが中性子生成を低く評価することに起因すると考えられるため核反応及び粒子輸送過程の計算モデルについて、今後さらに改良する必要がある。
坂本 幸夫; 田中 進; 中島 宏; 中根 佳弘; 明午 伸一郎; 高田 弘; 田中 俊一; 高田 真志*; 黒沢 忠弘*; 中村 尚司*; et al.
原子核研究, 41(3), p.95 - 99, 1996/06
TIARAの中性子迷路漏洩実験で陽子ビームの照射を受ける銅ターゲットの線源特性を明らかにするため、種々の放射化検出器で測定された角度依存の放射化量を再現する線源中性子スペクトルをSAND-IIコードによるアンフォールディング法で算出した。同コードのライブラリーにはない20~70MeVのエネルギー領域での断面積データを整備するとともに、初期値として入力する線源スペクトルはNMTCで算出した。この結果、銅ターゲットからの角度依存の線源中性子スペクトルの絶対値を評価することができた。TIARAでの中性子スペクトル測定実験の解析と同様に、NMTCのスペクトルは再現したスペクトルに比べて30MeV以上で過大となっている。90度より後方では、初期スペクトルに床面からの散乱中性子の寄与が入っていないため、アンフォールディングが収束せずスペクトルは振動している。
高田 弘
原子核研究, 41(3), p.39 - 47, 1996/06
68MeV陽子を厚いC、Au及びCuターゲットに入射した場合の中性子スペクトルについて、NMTC/JAERIとMCNP-4Aから成る高エネルギー核子・中間子輸送計算コードシステムを用いて、前平衡過程を導入した場合(3STEPオプション)と反射・屈折及び媒質効果を考慮した核子・核子散乱断面積による原子核の平均場の効果を導入した場合(ISOBARオプション)の2通りの解析計算を行った。3STEPオプション計算は45°より後方では全エネルギー範囲について実験と良く一致したが、0°~30°方向では20MeV以上の中性子放出を実験よりも極端に大きく評価した。一方、ISOBARオプション計算は、3STEPオプション計算に生じた前方角度の不一致を良く改善し、後方角度でも実験とかなり良く一致した。この結果、原子核の平均場の効果を考慮することにより、NMTC/JAERI-MCNP-4Aコードシステムの計算精度の向上が確認できた。
明午 伸一郎; 高田 弘; 千葉 敏; 中本 建志*; 石橋 健二*; 松藤 成弘*; 前畑 京介*; 執行 信寛*; 和久田 義久*; 渡辺 幸信*; et al.
PSI-Proceedings 95-02, Vol. 2, 0, p.442 - 453, 1995/00
本グループでは高エネルギー陽子を薄いターゲットに入射した場合の中性子生成二重微分断面積の系統的な測定を行ってきた。本研究では、積分的なデータを得て高エネルギー核子・中間子輸送コードを検証することを目的として、0.5及び1.5GeV陽子を黒い鉛ターゲットに入射した場合の生成中性子スペクトルを測定した。測定は高エネルギー物理学研究所の陽子シンクロトロンを用いて、断面1515cm、厚さ20cmの直方体の鉛ターゲットを用いて行った。中性子スペクトルはTOF法とアンフォールディング法により得た。NMTC/JAERIによる計算値は数100MeV以下及び百MeV以上の中性子については実験値に良く一致したものの、その中間領域については50%程度過小評価した。薄いターゲットの計算値は実験値と良く一致していたので、計算は一回衝突による中性子生成過程では問題がなく、ターゲット内の粒子輸送過程に問題があると思われる。